当番世話人挨拶

このたび、28回日本癌病態治療研究会を令和元年6月27日(木)・28日(金)の両日、埼玉県川越市のウェスタ川越において開催させて頂くことになりました。千葉大学 名誉教授 磯野可一先生、東海大学 名誉教授 生越喬二先生の多大なるご尽力のもとに1992年に発足した歴史と伝統のある本研究会の学術集会を担当させて頂くことはこの上ない光栄であり、松原久裕理事長をはじめ、竹之下誠一前理事長、理事、世話人、施設代表者の先生方、関係各位には心より感謝申し上げます。現在、教室員一同、開催に向けて鋭意尽力しております。

今回の学術集会のテーマを「思索生知」とさせて頂きました。癌病態の解明や新規治療法の開発は日進月歩であり、がんゲノム医療や人工知能による診断補助などが臨床現場に登場し、網羅的な遺伝子解析等によるビッグデータの活用も可能な時代になってきています。このような時代であるからこそ、「原点に立ち返り、論理的な思考を巡らせることにより、癌病態の解明と治療の新たな展開に繋げる姿勢を大切にしたい」という気持ちを込めさせて頂きました。

主題関連としてシンポジウム「消化器発がんのゲノム・エピゲノム異常研究の最前線」、パネルデイスカッション「病態に応じた低侵襲がん治療の工夫」、ワークショップ「がん治療抵抗性の克服:基礎と臨床」、「AI(内視鏡・病理等)/新たな診断法」、「Hypermutant腫瘍と免疫応答:基礎と臨床の最前線」、「リキッドバイオプシーの現状と将来展望」、「長期経過から見たConversion surgeryの検証(上部消化管)」、「長期経過から見たConversion surgeryの検証(下部消化管、肝胆膵)」を企画致しました。教育講演として埼玉医科大学ゲノム医学研究センター・遺伝子情報制御部門部門長・客員教授/東京都健康長寿医療センター研究所・老化機構研究チーム・システム加齢医学研究部長の井上聡先生には「患者由来がん培養・移植モデルの樹立と難治がん分子標的探索」、特別講演として慶應義塾大学医学部 腫瘍センター ゲノム医療ユニット教授の西原広史先生には「がん遺伝子パネル検査によるプレシジョンメディシンの現状と今後の方向性」、スポンサードシンポジウムとして山梨大学医学部 解剖学講座細胞生物学教室教授の竹田扇先生には「病理診断学と機械学習:暗黙知と形式知からのがん診断」の各々タイトルで、ご講演頂く予定です。

新しい時代「令和」の幕開けを、癌病態の解明と治療の研究に邁進されている諸先生方とともに2日間、じっくり学ばせて頂くことに大変な喜びを感じております。この分野のエキスパートの先生方のきわめてハイレベルなデイスカッションへの期待はもちろん、未来を担う多数の若手臨床医・研究者の先生方にご参加頂くことで、実りある学術集会になることを切に願っております。

本学術集会が埼玉県で開催されるのは初めてです。開催地の川越は「小江戸」とも称される江戸情緒あふれる由緒ある城下町です。何かと行き届かない点があるかと存じますが、教室員一同皆さまのお越しをお待ちしております。

令和元年5月


第28回日本癌病態治療研究会
当番世話人 石田秀行
埼玉医科大学総合医療センター 消化管・一般外科/ゲノム診療科